悔しいけど…

豆乳パウンドは美味しかった。


「美味しい。いくつでもいけそう!」


もう、素直に溢れてしまう賞賛の言葉。


「早、俺のも食うか?」

そう言って1切れあたしのお皿に乗せた。

むきゅ~ん

優しい♥

「わーい!」

あたしは、羽鳥がくれたパウンドをぱくりとほおばった。

「おかわりあるよ~。」

すかさず私の空のお皿にもうひと切れサーブしてくれる安土さんは

くすくすと笑っている。


「羽鳥くん、彼女に優しいんだね。


 まあ、元々優しかったっけ。」


「別に…」


あたしはもぐもぐとパウンドケーキを頬張りながら

ちらちらちと羽鳥を観察した。


照れてる羽鳥は、真っ赤だ。


あたしに対しての行動なのか、

それとも彼女に褒められたからなのか、

どっちとも取れる。


演技じゃないよね。

前も思ったけど、学校の羽鳥とは全然違う。

あたしがじっと羽鳥の顔見てると、

「見んなよ、テレんだろ。」

顔を隠した。