「上から見ていた。皆励んでいるな。いずれそなたたちが私を守ってくれるのだと思うと心強い」
膝をついた少年たちが、溌剌とした瞳で自分を見ている。
口は滑らかに言葉を紡ぎだした。
「私も武芸は一通りやってきた。鍛錬を重ねてきたそなたたちには敵わんだろうが……。誰か、私と打ち合ってくれぬか。一番剣術の苦手な者で良い。でなければ私は一秒数えぬうちに負けてしまうだろうからな」
作りなれた笑顔を浮かべてそう言うと、彼らは一様に戸惑った様子を見せた。
まさかこんなことを言われるとは思っていなかったのか、教官も不安そうに自分と将軍とを見ていたが、将軍だけは全くの無表情だった。
少年たちが、一番後ろにいた青礼をちらちらと見始めた。
目敏くそれに気づいた風で、崔延は青礼に歩み寄った。
「久しいの」
「……お久しゅうございます」
少年たちがどよめいた。
教官も混乱しているらしい。
だが崔延は気にも留めず、礼だけを見た。
「剣は苦手と見たが」
「まだまだ鍛錬を重ねなければ、到底御身を御守りすることは適いませぬ」
「己が力をきちんと見定めているな、頼もしい限りよ」
叩頭したままの礼の肩に手をかけて、崔延はその顔を覗きこんだ。
赤銅色の肌は火に焼けて力強く、光る橙色の瞳が眩しい。
待ちわびていた。



