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寂しい枯れた世界を白く染める吐息を、冷えた指先に吹きかける。

顔をあげると、担任の呆れたような顔。
哀れなものを見るような目。

私が黙りこんでもう15分は経っただろうか。


この沈黙の始まりは、彼の一言からだった。



『 夢を諦める勇気も必要だ 』



私は、その一言に思いっきり顔を顰める。
『なんなんだ、コイツは』と思った。

でもどうしてそんなことを言われているか、分かってる自分もいる。
私が座る薄汚れた椅子に寄りかかるようにして置かれたアコースティックギター。
ぎゅっと強く抱きしめるように前で抱えた。

よくわからない感情に飲み込まれそうになったから。


夏、私は就職受験に見事撃沈した。
【 不合格 】を受け取った瞬間に私は決めたのだ。
アルバイトをしながら、歌っていこうと。
夢である、シンガーソングライターを続けていこう、と。


綺麗に並べられた椅子と机。
その中でポツンと取り残されたように、座る私。


人間、夢がないと生きていけない。
むしろ、夢があるから生きていけると思う。
夢をなくした人間は、生きてると言えるのだろうか。
そう思い続けてきた私に突然突き付けられた、
『 夢を諦める勇気 』という考えもしなかったこと。


なんだか腹が立ってきた。


私の考えを否定するような彼の言葉にか、
それとも受け入れられない自分自身にか。

それすらも分からないで、沈黙は20分を迎える。