涼介から「別れよう」というメールが来たのは卒業式前日。


辛くて辛くて。

分かっていたのに、胸が痛くて。



自分から別れを告げることだってできたのにできなくて。


「涼介、さよなら」



最初で最後の恋。

あかね先輩が言っていた。


なんてあっけないのだろう。




全てあっという間だ。







「あかね先輩のように卒業できたら───」



もう叶わない願い。


笑顔で卒業なんてできるわけもない。


だけど、家族にだけは嘘でも笑顔で接しよう。






「杏ちゃんいってらっしゃい♪」


「杏奈!後で行くからな!いってらっしゃい!」




私は小さな声で「いってきます」そう呟いて家を出た。



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私の目には涙が溜まっていた。

全てを思い出して。
嗚咽を漏らしていた。



目の前に斗真君がいるのにも関わらず───。