【完】私は貴方を愛せない



「・・・あかね先輩が卒業なんて嫌ですっ」


「前田ちゃん!!そんな泣かないの!あたし毎日でも部活見に来るつもりだから!」




秋が過ぎ、冬になり。

そして3月。


今日は卒業式だ。


大好きなあかね先輩が部活を引退した時も洪水のように涙を流した。


なのに今も大洪水。

涙は枯れる事を知らない。




「あかねさんもそう言ってるし、泣きやめよ杏奈」


「だってぇ」


「ほーら!笑って写真撮ろう!!あたし杏奈の笑顔が大好きだからさ!」


「へ!?今あかね先輩私の事・・・」


「はい!チーズチーズ!」




パシャっと目の前のあかね先輩が持ったケータイが光る。



元気よくピースするあかね先輩と驚き顔の私。

そしてそれを呆れて見ている涼介の姿がばっちり撮れていた。



「おー前田ちゃんいい顔!」


「呼び方戻った!?あかね先輩!お願い、もう一回杏奈って・・・」


「この写真家宝にしよう笑」




そう言って元気よく走り回るあかね先輩を私は慌てて追いかける。




あかね先輩とはもう廊下ですれ違う事はなくなってしまう。


だけど、私にとってあかね先輩は先輩でもあり大事な友達だ。


式が終わって両親らしき人と一緒に笑顔で退場する先輩の姿は、とても羨ましかった。



私も来年。

・・・先輩と同じ気持ちで部活を引退して、卒業式に出よう。