「た・・・助け・・・」


「そうだ。"僕"じゃなくて"俺"になってたわよ」


私はそう言い残してもう一度果物ナイフを抜き取って、刺した。


それから彼の声は一切しなくなった。


腕の脈を確認してみると動いていない。

息もしていない。



二人目に復讐する事ができたのだ。

なんて気持ちいいのだろう。



お父さん見てる?

私やったよ。
復讐できたよ。
それにタクミって名前聞けただけでも前進できたよね?


お母さん聞いてる?












それから誠さんの家を綺麗に掃除した。

もちろん、警察が入った時怪しまれないように所々に死んだ誠さんの手を使って指紋を付けておいた。



私はバックに婚姻届を適当に入れ、
今度は手袋をバックから取りだした。


綺麗に掃除した部屋という部屋をめちゃくちゃに荒らす。


まるで金目の物を探しているように。



実際にあった預金通帳と現金。

彼の服に入っていた財布をバックの中に入れ、手袋を処分した。


これで空き巣に殺された誠さんの家が出来上がり。



荷物を持って、最後に部屋を見回した。


「さよなら、誠さん」



玄関の扉を開ける時、
私の左手の薬指に付いている指輪がキラリと光った。