「誠さん、疲れてるのよ。そろそろ寝た方がいいわ」
「そうだな・・・」
「今日泊まっていい?」
「ああ」
「もう23時だし・・・。ほら、先にベッドに入ってて?私お風呂入ってくる」
「分かった」
彼は睡眠薬をキッチンで飲んで、ふらつきながら寝室に向かった。
その姿を見送った後、私はさっそく準備を始めた。
と言っても、
レインコートを着て果物ナイフを取り出すだけ。
私はすぐに彼の後を追って寝室に入った。
「あれ・・・もうお風呂入ったの?」
ベッドの上に横たわりうっすらと目を開けてこっちを見る。
相当参っていたのと、睡眠薬がよく効いているらしい。
「まだ入ってないわ」
「・・・もうお風呂入らないで僕の傍にいてよ」
「そのつもりで来たの」
「やっぱり杏奈ちゃんは優しい。こんな女の子に会った事ないよ」
「誠さん」
「どうしたの?早くこっちに・・・」
「石田浩司さんの事知ってる?」
「・・・ああ、こーちゃんは昔からの知り合いだよ。失踪してるってニュースで聞いた時はびっくりした。あいつとは悪友だった・・・」
「そうなの」
「でも、なんで杏奈ちゃんがこーちゃんの名前を?」
「裏で貴方達を操っていたのは誰?」
「杏奈ちゃん?」

