プロポーズの日から私たちは結婚式の準備を始めた。
今日も彼の家で話し合う。
式場、ドレス、料理・・・。
住む場所も一軒家にして動物も飼おう。
子供は何人がいい?
そんな話もしながら。
「婚姻届は明日出そうか。名前とハンコ頼んだよ」
もう彼の名前とハンコの書かれた婚姻届を手渡された。
私は笑顔で「分かった」と答える。
「あっそうだ。こんな話知ってる?」
「話?」
「そう。すごくかわいそうな女の子とその家族の話」
彼は不思議そうな顔で私の話に耳を傾けてきた。
「昔々あるところに普通の幸せな夫婦がいました。そんな夫婦の間に一人の女の子が生まれます。名前は愛。夫婦にとっては愛しい存在だったからその名前を付けたそうです。三人は幸せな家庭を築いて行きました」
「・・・それで?」
「その女の子が高校生になった時の事です。今日は卒業式、大好きなパパとママが式に来てくれるのを楽しみにしていました。しかし、一向に二人は現れません」
「かわいそうな話なんだから、何かあったんだよね・・・?」
「すると担任の先生から連絡が入り、二人がもうこの世にはいない事を知りました」
「やっぱり」
「変わり果てたパパとママの姿。愛ちゃんは泣き崩れました。優しいパパとママは悪い三人組に殺されたのです」
「・・・え?」
「卒業式に向かう途中、ある三人組の男性を車に乗せました。その三人はパパとママの優しさを命を奪うという形でお礼をしたのです。お金を奪い、命を奪った後三人はパパとママを海の中に捨てました」
「やめてくれ。もういいよ」
「それを知った愛ちゃんは復讐する事を誓ったのです。自分の夢も、友達も、恋人も全て捨てて・・・」
「やめろ!!!」

