誠さんとの距離はこの日を境に一気に近づいた。
彼の家には毎日のように通い、連絡も取りあった。
私が手料理を作るととても喜んでくれた。
体だって何度も重ねた。
ベッドの上の彼は普段の彼とは全く違い、狼になる。
さすがの私でも疲れきってしまう事もしばしばあった。
復讐をする。
この事を忘れかけるような楽しい時間も無かったとは言えない。
誠さんは私の事を本当に大切にしてくれた。
そんなある日。
「杏奈ちゃん、今日はどうするの?」
「じゃあ泊まろうかな」
「大歓迎だよ」
「じゃあ今日も料理作っちゃうね」
「助かるなぁ」
「誠さんの為だもん」
私はキッチンに向かい手を洗った。
晩御飯の料理を何にしようか。
そう考えていると、誠さんが急に真剣な声色で話しかけてきた。
「・・・こんな所で全然ロマンチックじゃないんだけどさ」
「どうしたの?」
「僕達そろそろ、一緒にならない?」
「えっ・・・」
「プロポーズ、してるんだけど」

