高そうなレストラン。

街を一望できる個室に連れてこられた。



白いテーブルに真ん中には高級そうな花が花瓶に入れられている。


「どうぞ」


「あっそんな、申し訳ないです」



私が座れるように椅子をすっと引いてくれた彼。



「レディファーストだから笑」



レディファーストという言葉を聞いた時。

私は子供のようなあの人を思い浮かべた。



すぐに消そうとしたんだけど、なかなか消えない。


これから私は長い時間をかけて
目の前の彼に復讐しなければならないのに。


雑念が入ると気持ちが横を向いてしまうかもしれない。



最後に見たあの人の顔は少し寂しそうだった。


連絡先を受け取らなかったんだもの。

私に好意丸出しだったし、少し他の人とは違うと思えたけれど・・・。



私が恋愛をする権利はない。


だから少しでも早く縁を切ったのだ。