暗い暗い留置所の中。


ネオンの街を歩いていたあの頃を思い出す。




最後に働いていたお店の店長はとてもいい人だった。

今頃何をしているんだろうか。


ここから出たらお礼を言いに行こう。


怖がられたらその場から去ればいい。

全てを話そう。



そして、復讐で殺してしまった三人の関係者にも謝りたい。


きっとものすごく恨まれてしまうはず。


それでいい。

恨む相手がいれば心は救われるというものだ。


私がそうだったように。




けれど、復讐が復讐を呼ぶのはとても悲しい事だからたくさんたくさん説明して謝ろう。


心の底から。










ガチャリと音が鳴り、誰かが夕飯を持ってきてくれたようだ。



「杏奈、ご飯持ってきたよ」


「・・・あ」


「また来るよ」




ふわりと香る柑橘系の香水。

彼がいる限り、私の未来は幸せ決定だ。



生きて、生きて、生きるんだ。


私は自分の心臓の音を
聞きながら未来を想った───。





-end-