なんて呆気ない終わり方なのだろう。

私は長い時間をかけて三人もの男たちを殺してきた。



いかがわしい店で働いて、お金を稼いで、人を殺して。


私の人生は復讐で成り立っていた。


もう生きるための目標などないのだ。

吉崎さんの後を追って私も死ねばいいのだろうか。



私を必要としてくれる人なんてこの世には───。





「杏奈さん。さっきは、呼び捨てにしちゃってすいませんでした」


警察と救急車に連絡をかけ終わったのか、斗真君は私にそう言ってきた。



「・・・ん」


「杏奈さんと先輩がまさか付き合っていたなんて。って思ってたんですけど、やっぱり信じられなくて後をつけてきたんです」


ストーカーみたいな事してすみませんと斗真君は笑いながら頭をポリポリとかく。



そんな姿を私はぼーっと見つめて一言。


「私が怖くないの?」


「え?」


「知ってるんじゃないの?私がしてきた事」


「・・・」


斗真君は黙る。

この反応はyesだととらえてもいいのだろうか。





「知らなくても教えてあげる。私は・・・」


「杏奈さんは杏奈さんです」


「え?」


「必死に今を生きている可愛い一人の女性です」


「何を言ってるの・・・?」


「俺は何も聞いていないし、調べてもいない。それでいいじゃないですか」


切ない笑顔で彼はそう言った。

きっと心の中の正義の心と戦っているのだろう。