私はその手紙を折りたたみ、目に浮かんだ涙を手で拭いた。


彼の気持ちを無駄にしないよう部屋中を綺麗にする。

そしてタンスの中に入っていた遺書を彼の遺体の傍に置いた。



「・・・最後のお願い。聞いたよ」


彼は何も答えない。


遺書の中に何が書かれているのかも分からない。


もしかしたら最後の最後に私を裏切る言葉が書いてあるかもしれないけど、それもそれでいいのだ。


最後の復讐さえ遂げれば、私はそれで十分。

警察に捕まっても幸せだ。




私は柳沢家を飛び出し、外に出た。



ふっと空を見ると綺麗な星たちが瞬いている。




「お母さん。お父さん。・・・私、頑張るよ」



きっと二人も望んでいないかもしれない。

私もどこかでは望んでいない。



復讐を遂行するために。