長すぎる廊下、豪華なインテリア。部屋の数も尋常じゃない。
改めてこの屋敷の広さを実感する。

2人でその長い廊下を歩いているときに、薫は先ほどの斉藤の発言が気にかかった。

もし、自分の鍵に合わない箱を見つけた時。。。

その箱を自分が隠しもっていれば・・ライバルが一人、減る。10億へ近づく。

「箱の中には何がはいってるんでしょーかね?」

明美が問いかける。

箱の中身?そんなのなんだっていい。
鍵に合えば、10億が手にはいる。誰よりも早く見つけなければ。

「さぁ・・何が入ってるんだろうね。」

遠くの方からこっちへ人が近づいてくる。如月だ。

「もうやだ、全然見だめだわー。あんたたち、見つけたのー?」

まだ始まって間もないのに、もう弱音を吐いている。

「い、いえ。」

明美が答える。



如月がナニかを手に持っている。
10cm四方の小さな四角い箱。
箱。
「箱」だ。

「ちょ、如月さん、ちょ、それ。はこ!」

薫が取り乱して如月に言う。

「あぁ。これ?さっきそこで見つけたんだけど、あたしの鍵に合わなくってさ。もう、やんなっちゃう。」

「あの、もしよかったら。」

「いいわよ。あげるわ。持ってても意味ないしね。」

箱を投げるように渡し、如月は自分の箱を探しに行った。

如月が馬鹿でよかった。
早速2人は自分の鍵と合わせてみた。

カチカチカチ

「私のじゃないみたいですね。」
続いて薫。

カチカチカチ

合わない。何回も試したが合わない。くそ。

「んー両方違うみたいですね。その箱どうしましょうか。ここに置いておきます?」

薫は明美も馬鹿になったのかと疑った。この箱を隠しもっていれば、白旗か斉藤、どっちかが失格確定なのだ。

「いや、俺が持っておくよ、きっとあの2人のだから、会ったら渡しておくよ。」