スタスタと先を歩く雪野さんに、私はついて行くのが精一杯だった。 なんとか見失うことなく電車を乗り換え、ホテルに着いた。 「なに突っ立ってんの? 準備できたのか?」 「あ、あの…」 「お前忘れっぽいんだからもう一回確認しとけ。」 雪野さんは私が言いかけたことを無視して言葉を続けた。 だから、なんだかとても言い出しづらくなってしまった。