「──…本当か?」
私を真っ直ぐに見つめる双眸には、有無を言わせない力があって。
声に出してしまったら全部言ってしまいそうで、鋭い視線に耐えながら頷くのがやっとだった。
そんな私の態度に顔を顰めた魁さんは
「金の事なら気にするな。田中には、俺が後で払っておく」
「すみません……」
謝る私に溜め息を吐いて
「わかったから、そんな顔するなよ……」
頭をポンポンする。
「……すみません」
もう一度謝ったのは、本当の事を言えなかった事への謝罪。
頭に触れた魁さんの手が温かくて、涙が出そうになるのを必死に堪えていた。