「ねぇ、荒井さん。マリア知らない?」


まだ隣の席に座っていて、話に花を咲かせていた荒井さんに尋ねれば


「あ、土屋さん! 周防さんなら、あなたが食堂から出て行って直ぐに転校生の暁さんに連れて行かれたわよ」


耳を疑うような言葉が返ってくる。


「暁さんが、マリアに何の用?」


今日、転校してきたばかりの暁さんが、マリアに個人的な話があるとも思えない。


「知らないわよ。聞いても、周防さんと話がしたいって腕掴んで連れて行っちゃったんだから」


腕を摘んでって……


謎だらけの転校生に連れて行かれたマリアが気になる。


「わかったわ。ありがとう」


荒井さんにお礼を言って、食堂の出口に足を向けた。