一日の終わりのホームルームの時間、教室はいつも以上にザワついていた。
夏休みの課題でみんなが書いた歌詞が、全員に配られたのだ。
学年全員分の歌詞。
それは膨大な量になり、何枚ものプリントを全て読むのは大変な労力に思われた。
みんなの歌詞が、無記名でランダムに載っている。
パラパラとめくると、見覚えのある言葉が目に留まった。
私の書いた歌詞だった。
色んなことがあった夏休み。
散々頭を悩ませ、何日もかけて書き連ねた言葉たち。
どれだけの人の心に響くのか分からなかったけれど、今、自分が感じていることを全て紙にぶつけたつもりだ。
ここまでやって選ばれなかったら、もうそれは仕方のないこと。
私の力不足だったということで、諦めもつく。
でも、たった一人でもいいから、誰かが私の言葉に興味を持ち、共感してくれたら。
何かを感じてくれたら。
本当に、たった一人で構わない。
それだけで私のやったことに意味はあったというものだ。
「では、来週のホームルームで投票を行います。
みなさん自身が歌うものですから、きちんと全部読んで、一番良いと思うものを選んできてください。」
花井先生はそう言って、ホームルームを終えた。