「記憶、絶対に消すな」



そう、強い口調で言う。






「え…えっと…」



と、晴は口ごもる。







「晴と過ごした記憶がなくなったら、俺はなんでこんな風に人を気遣えるようになったのかわからない。母さんの気持ちを知れたのも、真堂と喋るようになったのも、柊羽と前よりもっと仲良くなれたのも…」





そこで、深く息を吸い込む。






「初恋の相手すら、わからなくなる」




「初恋…?」





晴が不思議そうに聞き返す。





「俺はお前のことが…晴のことが好きだ」




そういうと、晴の顔に驚きの色が



広がる。







「で…でも、私、幽霊ですよ…?」