お母様は、家の中にいた一人の女の人に 「少し具合が悪いから、部屋に戻っているわ。夕食は、二人でとって構わないと伝えて」 と言った。 「かしこまりました」 と、丁寧に返事をして、女の人は どこかへ歩き去った。 「晴ちゃん...だったかしら?ついてきて」 「は...はいっ」 お母様について行きながら、家の中を 見回す。 なんて、広いんだろう...! 同じような扉ばかりで、何処がなんの 扉なのか、全くわからない。 「こっちよ」 と、時折私に声をかけてくれながら お母様は進んでいく。