みんな…私以外の人は、課長の正体を知らないんだよね。

課長は、本当はあの俳優の朝日湊だってこと……


梓と紗耶香は、知らないんだよね…




なんだか、不思議な気持ちなる。

私と課長だけの秘密を持つことになるなんて…全然想像していなかったから。





「ねえ、美玲。今日は9時からお茶くみが入ってるんじゃない?」

「あ、そーだっ!」


今日は、いつもの9時からの担当の子が法事で休みだから、私が代わりにやるんだった!

私はダッシュで給湯室へ行き、オフィス内全員のお茶を入れた。



課長のマグカップに、コーヒー豆の粉末を入れたあと…熱いお湯をそそいだ。


そしていつも通り、上司の人たちにお茶を出す。





「お♡茶柱が立ってるね。ありがとう、吉村さん」


優しい上司もいれば…




「うーん…今日は50点中、35点かな」


面倒くさい上司もいる。