横になり、目をつぶるツバサ。



「は、はじめるよ…」



「わかった。」



台本を片手に私は精一杯ロミオの演技をする。



まずは、喜びのシーン。



長い間別れていた恋人に会うシーン。



『お、ぉぉぉ!ジュリエット!!』



しかし、気が付く。



愛しの恋人が呼吸を止めてしまっていることに。



『ジュリエット!ジュリエ~~~ット!』



そう叫ぶ私の声は嘆きの声に聞こえたのだろうか?



どう?




ツバサ…?



ツバサは目を開け、こっちを見ていた。



「あ…」



目が合う。



私たち。


手に持っていた台本がするりと抜け容易に床にたどり着く。



まるで世界が止まったかのように、私たちはお互いを見つめていた。



「…あ!」



つ、次のセリフ。



次のセリフは?



台本を拾い、ぱらぱらと台本をめくるがなかなか見つからない。




「…『地上での最後のキスをキミに。お休みジュリエット』だ。」




「…え?」




「…『お休みジュリエット』」



彼に言われるがまま続ける演技。




『地上で最後のキスをキミに』




キス…




キス…




キ…