「む、無理かな…やっぱり…」
彼は腕を組みながら考える。
「…」
あの…
…返事…まだですか。
「一つ聞きたいんだけど、」
神野君が口を開いた。
「な、何?」
「お前、何でロミオ役なんて選んだんだ? 勉強、マジで大変じゃん?」
…その通り。
「ロミオじゃなくて、木の役でもしてればよかったのによ。」
「だって…みんな…」
…うぅ、頭悪い上にどんくさいから押し付けられただなんて言えない…。
「まぁ、いいけど。で?やる気あるの?」
「うん、勉強は頑張らないと、来年…」
「違う、違う。ロミオ役のこと」
あ…そっか…その話してたよね。
「うーん…任された以上は頑張ろうかなって思っているよ。神野君もいるしね。一緒に頑張っていこうかなって。」
私は笑顔で言った。
もしかしたら顔は引きつっていたかも。
不安がないわけじゃないけど…でも、せっかくなったんだから頑張ろうとは思っているんだ。
「そっか…わかった。じゃあ、毎日勉強だな。デートについてはまた考えよう。」
…え?
演技のため、付き合う。
神野君、本気なの?
「じゃ、明日からは放課後に図書室集合な。忘れるなよ!」
今の神野君が何考えてるのか全くわからないよ。
君は、演技のために女の子と付き合ってもいいの?
女の子の事をそんな風にしか見ていないの?



