じっと私を見つめるツバサ。
キレイな顔立ち。
それに比べて私は…
風で髪もぼさぼさだし見られてたなんて
なんだか恥ずかしい…
私は思わず、彼から目をそらす。
目の前に立つ息をのむような端正な顔立ちの美少年。
彼の薄く濡れた口元が緊張した面持ちでぎこちなく動く。
「唯…」
彼の腕に力が入る。
「きゃっ…」
思わず…声が出た。
「あ、ごめ……」
あわてて謝る彼の姿はいつもの彼からは想像もつかないようなひどく幼い顔に見えた。
「震えてるな…」
ツバサに言われて、はじめて自分がぶるぶると震えていることに気が付く。
「…ほんとだ…。」
でも、気が付いたんだ。
彼の手が小さく震えていることに。
私の顔はツバサの胸に押し当てられた。
ツバサから漂うシナモンのような甘いくて優しい香り。
「…わりぃ…」
耳元でツバサがボソボソと、何かを呟いた。
徐々に熱を帯びる私の頬はきっと真っ赤になっているに違いない。
見なくてもわかる。
息ができないくらい心臓がバクバクバクバク暴れている。
ツバサ、ありがとう。
「…わりぃ。俺、お前のこと好きだ。」
しばらくして、セミがまた泣き出している。
私が、ぼんやりとしている間に影は段々深みを増し、
真夏の元気な太陽が顔を出していた。



