「あ、あのさ……っ」
「あ?」
今度こそはっきりした口調で言った。
「ナマイキでもいいよ。」
ツバサと密着している私。
大人から見たら恋人ごっこをしているだけの私たち。
ナマイキな子どもだって言われるんだろうな。
ナマイキだっていい。
私はこうしていたい。
すると、ツバサが立ち止まった。
「ちょっと、雨止んできたんじゃないか?」
と、空を眺め指差す。
「そうかな?」
「そうだよ。よく見てみろよ。」
どう見ても、雨は止みそうになくどんよりと厚い雲が覆っている。
そんなことないよ…
そう言おうとした瞬間だった。
目の前が真っ暗になって、
一瞬だけ、唇に何かが触れた。



