「朋子」
「あ…真央くん」
「悪ぃ、待った?」
「ううん、別に」
「寒いな、どうする?俺ん家行く?」
「うん…」
笑って真央くんの腕に腕を絡める。
一瞬甘い香りがしたけど、気づかないフリをした。
「今日さ~、…ーーーーーでさ、ーーーで、ーーーーーだったんだけどーーーーもあってさ」
「うん、うん、それで?」
なんだか…
「ーーーだと思って、ーーーーーーって言ったらさ、ーーーーーーだったわけ!」
「え、すごいね!」
全然話に集中できない。
さっきのカズの言葉が心の中を支配する。
「ーーーーだと思うんだけど、朋子?聞いてる?」
「………え?あー、聞いてるよ」
「ならいいけど。でさ、」
この人はあたしと一緒にいても心が痛まないんだろうか。
こうして彼女を騙して、罪悪感なんてないのだろうか。

