「あ、俺そろそろバイトの時間だから行くわ」



「あたしも彼氏に会いに行くね」



「彼氏ね〜…」



「何…」



「別に〜」



そう言いながらあたしを見る目が冷たいんだけど…。





「あのさ、ミナミ」



店の前でカズが止まった。



「何よ」



「やっぱり俺は反対」



「……何で?」



言うと思った。

だってさっきもカズは何か言いたそうな顔してたもの。



「ミナミもその浮気野郎も別にいいよ、お互い好意で浮気すんだから。

でもな、その浮気野郎の本命はどうすんだよ」



「それは…」



「その子はただそいつのことを好きで付き合ってのに、裏切られてるなんて可哀想だろ」



「……」



「ちゃんと考えてみろ」



カズの言葉に動けないあたしに先行くと言ってカズはバイトに向かった。


あたしはカズの背中が見えなくなっても足が動かなかった。