「あのなミナミ、例えばお前が前好きだった婚約者がいた社会人と恋人関係になっていたとしよう」
「うん」
頭の中で2人で微笑み合う姿を想像する。
「そして、それが奥さんになる人に見つかった。その時ミナミはどう思う?」
「バレちゃった!どうしようっ!?ってなる」
「だろ?それって自分が悪いことをしてるって意識があるからだろ?」
「うん、そうだね」
「そこだよ。自分がその人と付き合っていて、罪悪感とか悪気があったらもうそれは正しい恋愛じゃねーよ」
カズの言葉は何も反論できないくらい正論だった。
「つか、お前浮気して彼女に対して悪気ないのになんで不倫して奥さんに対してなら悪気あるんだよ」
「だって不倫は道徳に損してるでしょ。不倫はお互いが悪い。
浮気は野郎が悪いだけよ」
「どんな考え方だよ…」
「でもそうだよね…そうだよ、正しい恋愛ってそういうことなんだね!」
「本当に分かったのかよ」
「要はちゃんとカズに紹介できる相手ってことでしょ!」
「…まぁ、そういうこと」
そうだね、真央くんなんて話はできたけど、カズに紹介できるような人じゃなかった。
最初から真央くんの恋は間違ってたんだ。

