目的地の花屋が見えた瞬間、中から大きな鉢を外に出す人が見えた。
そして、その人が背中を向けた時勢い良く抱きついた。
「カズっ」
「うわっ!ってミナミかよ!いきなり何すんだよっ」
「ごめんね、カズ。あたしが間違ってた」
素直に謝ると、さっきまで大声で騒いでいたカズが静かになった。
「そういえば…浮気野郎どうした」
「フって逃げてきた」
「そうか…」
「ねぇ、カズ」
「ん?」
「あたし、彼女と浮気相手どっちにしろあまり変わらないと思ってたの。でも浮気相手なんか辛いだけだね。
あんなの片思いと一緒。
ううん、片思いよりもっと辛い。
彼女と同等なことをするのに、1番欲しい相手の心がもらえないんだもの」
真央くんが好きだった。
だから浮気相手でもいいと思った。
でも、そんなの辛いだけなんだ。

