「...春香は、やっぱり笑ってるほうが
 可愛いよ」


「なっ、ほんとに白ちゃん?!///」


「見てたよ。ずっと。俺、春香が笑って
 ないと旅立てない。だから、笑って?」



 ずっと、コレがいいたかった。


 春香の涙をぬいぐるみの手で拭い、
 だけど、どんどん涙が溢れてくる。


 ...春香?


「...知ってた?私、...し、ろちゃんの
 っ...っ...事、好き、なんだよ?」


 
 泣くな。
 
 泣いちゃダメだ―――...。


 ぬいぐるみの体の俺。
 春香の想いが痛いほど届いて、苦しくて
 きらっと何かが光る。


 ぬいぐるみの俺にも、涙なんか、
 出るんだ――――...。
 


「白ちゃんも、泣いてるの...?」


「っ泣いてねーよバーカ!!」


 ひょいっと春香の腕から飛んで、
 地面に足をつけた。ぬぐるみの足で。



 こんなにも暖かい心があったんだ。
 
 俺、今まで自分のことばっかり
 
 考えてたから

 全然わからなかった。




 人を好きになるって
 
 こんなにも愛しくて、嬉しい事なんだ。