文化祭。
 俺と春香が約束していた日がきた。


 相変わらず俺は春香から離れられない。
 少し、不安になる。


 俺、悪霊なんかにならないよな?


 春香が笑ってくれれば俺も、たぶん
 いなくなるんじゃないかって

 心のどこかで思ってる。



 だけど―――... 
 まったく笑わない春香。

 俺のせいだ。
 俺が死んじゃったから。



「ね、春香ちゃん。どこに周りたい?」


「....うん」



 今さっきから杉山と文化祭を一緒に
 周ってるのに全然楽しくなさそうな春香。


 言葉が「うん」しか言ってないのは
 それだけ俺が死んだショックからだ
 と思う。



「春香ちゃん...」


 ほら、杉山も心配してるよ?春香。
 ちゃんと話し聞いてあげて。


「あ、ごっごめん!私ぼーっとしてた。
 行こうっっ!!」


「ううん。いい。今はゆっくりでいいから」



 相変わらず女には優しい杉山。
 ほんと、にくめない奴だよお前。


 二人を見てるとハラハラする。
 くっついて欲しいようなくっついて
 欲しくないような、そんな気持ち。



 
 おーい春香。そっち道違う...。