散華の麗人

長らく蓋をしていた感情が溢れそうになる。

それはきっと、同じ顔をした暖かな光の所為なのだろう。

(……月雲。)

照れ臭くて名前さえ、数える程しか呼んでいない。

触れることも、ほとんどなかった。

ましてや口付けなどするはずもない。

(もう少し、優しくしておけばよかったのかもな。)

そんなことさえも思えてくる自分がいる。