無気力女神と何様ヒーロー

 


「すごいじゃん。頑張って」
「うん、だからさ、……これ」

すると、宙は額に巻いていた赤いはちまきを取り、それを私に差し出してきた。

「交換して」
「え?」
「羽衣奈さんのはちまき、俺のと交換して」

そう言うや否や、彼は腕に結んでいた私のはちまきを手荒く解き始める。
するすると腕から抜けていく細長い赤色を、私は呆然と見つめた。

「……交換して、どうするの」
「んー? お守り」


つけても何のご利益もないであろう私のはちまきを、額にあててぎゅっと後ろで結び付け。

「……うし!」


太陽を背に、宙は満足げに笑ってみせた。