バトンパス直後にひとり。 最初のコーナーで加速し、またひとり。 風を切るように鋭く、軽やかに、宙は立て続けに他の最終走者を追い越していく。 あとふたり。 直線でぐんと差を詰め、最終コーナー。 黄ブロックアンカーと並び、ふたりで前方の青を追う。 追う。 追う。 赤が揺れる――。 グラウンドに、割れんばかりの声が響く。 空気が震える。 熱が全身を駆け抜ける。 上半身を前に投げ出すように、3色が同時にゴールテープに飛び込んだとき、 私は、志保に思い切り抱き着いていた。