「――ああっ!」 突然、赤ブロックのスタンドから悲鳴が上がった。 青と競り合うように最終コーナーを曲がってきた赤ブロック走者。 アンカーの待つテイクオーバーゾーンを目前に、彼は大きく体勢を崩し転んでしまった。 その隙にバトンパスを終えた青ブロックアンカーが、颯爽とスタートを切る。 立ち上がっている間に、また別のブロックが赤を抜いていく。 ……どれも一瞬の内の出来事なのに、流れていく時間はひどくゆっくりで。 ああ長い。 遅い。 ねえ、はやく。 お願い、 はやく。