「おはよう。」 美智さんのいない家。 「おはよう、紫苑ちゃん。」 微笑むのは、尚紀さん。今までにない朝。 ご飯を食べて、準備をして、家を出る。 「いってきます!」 「いってらっしゃい。気をつけてね。」 玄関で優しく笑う尚紀さんは、昨日までと何かが違ってた。 …違っているのは、あたしの方だね。 今日の帰り、美智さんのお見舞いをして帰ろう。 そんな、悠長なことを考えていた。