痛いくらい寒かった。それは、はっきりしてる。 楠姉ちゃんも萩兄ちゃんもみんな、流行病で死んだ。 医者に行く金もなくて、なんにもなかった。 おれも、いつの間にか流行病にかかってて・・・赤い発疹と吐き気のする高熱がその証拠だ・・・路頭にの垂れてた。 くっそ・・・おれ、死んじゃうのか・・・。 月がやけに綺麗で、腹が立った。 爪が割れるくらい地面を握りつぶした。 はらはらと降る雪。 白と黒の世界に、ひとり、消えるんだって・・・