私の大切だった人

でもパパはママの両親に

「自分は命を懸けて仕事をして、

命を懸けて家族を守ります!」

と言って反対を押し切って

ママと結婚したそうです。


でも…そんな言葉が無残にも
現実になってしまうとは…


パパが休みの日には絶対

私と遊んでくれました。

ご飯も家族みんなで仲良く

食べていました。

私のワガママも全部聞いてくれて、

私が自転車の練習を始めた頃

(四歳)には朝から夕方まで

ずっと一緒に練習をしてくれました。

雨でも晴れでも雷が鳴っても、

絶対に保育園に迎えに来てくれました。

亡くなる前は、

パパと毎日お風呂に入って

パパの細い腕枕で寝ていました。

忘れもしません。

私が5歳、弟が3歳の

パパが24歳の誕生日でした。

パパは久しぶりに行った

ツーリングの途中で

ガードレールにぶつかって、

亡くなりました。

体を強く打って、

即死だったみたいです。

病院に行った時に見た、

白い布(?)を取った

パパの顔は、綺麗で、

不思議な事に笑っていました。

幼かった私は「死ぬ」という意味が

理解出来ずにただずっと泣いている

ママと、パパとママの親族、

白い布で顔を隠した、

暗い部屋に寝ているパパを弟と

不思議そうに見ていた記憶を

鮮明に覚えています。

でも亡くなってから

お葬式が終わるまでは

不思議と泣いた記憶がないんです。

パパにもう会えなくなるのは

祖母から聞いて

多少理解していましたが、

実感がなかった気がします。

お葬式が終わって、

普通の生活に戻り、

毎日迎えに来るパパが保育園に

来ないで迎えに来たママと弟に

「なんで今日はパパは来ないの?」

と聞いた時に

「パパはお空に行ったんだよ。

これからはママと春樹と3人で

一緒に暮らすんだよ。

パパはもういないんだよ。」

と目を真っ赤にしたママに言われて

「やぁだ~。今日も明日も

パパとバイクで帰って

パパと一緒にお風呂に入るの~!!

パパとまた会えるの~!!」

と言ってその日はずっと

パパの写真を握り締めて

泣きながら寝ました。


私はその後の16年間、

ずっとパパは事故で

死んだんだと思っていました。





結婚式前日。


私は、式中に見えたら

泣いてしまうので、

「パパの遺影は最後の手紙まで、

パパの席に置いておいてね!

パパも私が笑ってる顔が

1番好きだったから!」

とママに伝えました。

ママは

「OK。明日は頑張ってね!

パパも天国から見てくれてるよ!

泣くなよ!Fight夏海!」

とすぐにメールを返信してきました。

この時点で私は泣きそうでしたが、

翌日の式に読む、

両親への感謝の手紙を書きました。

ママに読む文章は、

凄い長く書きました。

でもそれ以上にパパに

読む文はママの倍以上書きました。



そして翌日、ついに式が始まります。

お互いの友達や親戚、

旦那の職場の人達、

こじんまりした、

手作りの結婚式でしたが

本当に温かい結婚式が

進んでいきました。




そしてついにフィナーレの

両親への手紙を読む時がきました。

司会も私の友達にお願いしていて、

「さあ、
ここで新婦から両親への手紙です。

ご両家のお父様、お母様、
新婦様の前へお願いします。

笑顔で感謝の気持ちを伝えましょう!」


旦那の義父母に挨拶をして、

ママへの手紙を読みます。

本当に号泣でした。

ママへの文章が終わり、

パパへの文章の手紙を手に取ります。



「パパへ・・・、パパは・・・

パパは私に凄い優しくて・・・」

言葉が詰まりました。

あんなにたくさんたくさん

書いたのに・・・。

ママの手にはパパの遺影。




ママの大粒の涙がパパの遺影に落ちて、

まるで遺影のパパが

泣いているみたいでした。




「パパ・・・、
パパ・・・、・・・・・」





ふと司会の友達を見ると、

「何分でも何時間でも
時間をかけていい!
天国の大好きなパパに
気持ちを伝えろ!頑張れ!」

とカンペが出ていました。



振り絞って声を出しました。





「パパ・・・、

ずっとずっと大好きです・・・。

パパ・・・」








もう何も言えませんでした。

伝えたい事はたくさんあるのに・・。

そんな時です!


「なっちゃん!なっちゃ~ん!」


「えっ?パパの声???」


幻聴かと思いました。





司会の友達が、

「さぁ~ここで、サプライズです!

新婦のお父様から天国より

お祝いのメッセージが

届いて・・・届いており・・・
ますので・・・

み、皆様も正面の大型ビジョンを、
ご、ご覧下さい・・・。」



司会の友達も泣いていました。









私は訳もわからず

大型ビジョンに目を向けると、

そこには大好きだった

亡くなる前のパパの姿が

映っていました。




気付くとママが横にいて、

ギュッと手を握り、

「目そらしちゃダメだよ!」

なぜか、パパは病院のベットで

当時お気に入りだった、

アディダスのジャージ姿で

映っていました。


「ママ?話してい~い?」


「もう始まってるんだけど(笑)

早く言いなよ!」




懐かしい・・・。
パパの声だ・・・。




「えぇ~、なっちゃん!
結婚おめでとう!」




私はこの時、

まったく意味がわかりませんでした。




「えぇ~、なっちゃん!
結婚おめでとう!
大人になったなっちゃんは
ママに似て美人になってるかな?」


この時私は横にいたママに

「なんで?なんで?」と

何回も聞きましたが、
号泣してるママに頭を

ビジョンにグッと向けられて、

「黙って見る!」と怒られました。





「なっちゃん、パパは今、

病気と闘ってます。

なっちゃんは

まだ小さいから

わからないかもしれないけど、

パパの病気はとっても大変な

病気みたいです。

なっちゃんが大きくなるまで

一緒にいれないかもしれません。

ふぅ~・・・。パパは、

なっちゃんが大好きです!

本当に大好きで大好きで、

すっごい大事なパパの宝物です。

なっちゃん・・・

たくさんワガママ言うけど、

パパ、なっちゃんの事

大好きだから

なんでもワガママ聞いてあげたい!

でもね、でもね・・・

次になっちゃんがお願いする

ワガママはパパ、

聞いてあげれないかもしれない・・・。

グスッ・・・・。

ママ~!泣くなよ!

笑顔で撮るって約束したじゃん!

ほらっ笑って!映しちゃうぞ~!」




「やめてよ~・・・グスッ・・。」



ママも若い・・・。懐かしい・・・・。



「なっちゃん!パパは病気で、

あと、どんくらいかなぁ~?、

なんて言えばなっちゃんには
伝わるかな~?

・・・あと、なっちゃんが30回

パパと一緒に寝るぐらいしか
出来ないんだって!

でも、お薬飲めばもっともっと
なっちゃんと春樹と
一緒にお話たくさん
できるみたいだけど、

会えるのはお家じゃなくて病院みたい。

そんなのパパは嫌だから、
お薬飲まないで

なっちゃんと春樹とママとお家にいる!

なっちゃんは毎日ワガママ言うけど、

パパも最後になっちゃんに

ワガママ言わせて!」



一回映像が止まりました。



ママが司会の友達から
マイクを受け取り、

話し始めました。



「本日はこのような

サプライズ企画をしていただきまして、
ありがとうございました。

私の旦那、新婦の父親は

事故で亡くなりましたが、

実はそれ以前に末期ガンだったのです。

亡くなる前に


「大好きな夏海と春樹の為に

結婚式のスピーチビデオを撮らせろ」


と希望を受けまして残しておりました。

そして大好きなバイクに、亡くなる前に

もう一度乗りたいとの希望で、

お友達様方と一緒に出掛けた際に

発作が起き、事故を起こしまして
亡くなりました。

お祝いの席でこのような

暗いお話はとお伝えましたが、

新郎の彰君からの提案で

このような場を設けさして
いただきました。

本当にありがとうございます。

申し訳ありませんが、

もうしばらくVTRが

ございますので、
お付き合い下さいませ。」




知らなかった・・・。


日帰りの検査入院した時に

撮っていたそうです。


だってパパが保育園に迎えに
来なかった日は亡くなるまで
一日もなかったし。



胸が締め付けられました・・・。



VTRは再度、スタートしました。






「なっちゃん、
パパはずっとなっちゃんが大好きだよ!

なっちゃんとお酒一緒に
飲みたかったなぁ~。

なっちゃんの子供抱っこしたかった!

なっちゃんと春樹の成長
ずっとずっと見たかった!

でもごめん・・・。
それはできないや・・・。

でもね、なっちゃん、
これだけはパパと最後の約束!

・・・グスッ・・・グスッ・・・。」




パパが泣いてる顔、初めて見た・・・。





「・・・パパがいなくてもママの
言う事を聞く事!

春樹と一緒にママのお手伝いをする事!

パパとママを

ずっとずっと

ずっとずっと・・・・・・・、

大好きでいてね!

パパが・・・・・

死んでも、わ、わ、忘れないでね!

グスッッ・・・、

大好きなママのお腹に

宿ってくれて本当にありがとう!

産まれてくれてありがとう。

短かったけど、

たくさんチュウしてくれてありがとう、

お風呂入ってくれてありがとう!

なっちゃんは選んだ人と

ずっと一緒に幸せに暮らすんだよ!

本当に今日は結婚おめでとう!

なっちゃん、大好きだよ!

ご、ご、ご、ごめん・・・ね。」





VTRが終わりました。


友達はみんな泣いていました。

私もずっと泣いていました。


VTRが終わった途端、

全員がビジョンに向かって

ずっとずっと拍手を

してくれていたのが忘れられません。


今でもパパは生きていると思います。


最後にパパに話しかけたのは、


「パパ~、
今週のお休みはカラオケだよっ!」


「いいよ~、パパがバイクで

お外行って帰ってきたら

みんなで行こうね。」



あの時のパパの笑顔は

一生忘れない…。

パパ…元気でね…!