ワイン恋物語

3回目に男の人とつきあったのは、2年前のことだった。

専門学校を無事に卒業し、調理師免許を取得したわたしは、とある企業の食堂で働くことになった。

「はい、ビーフカレーですね」

「ありがとう」

その男の人は、いつもビーフカレーを頼んでいた。

ビーフカレーが好きなんだな。

最初に抱いた印象はこんなものだった。

食堂に勤めてから3ヶ月経ったある日のことだった。

「はい、お待たせしました」

いつものようにビーフカレーを彼のトレイに置いた時だった。