今、ゴールに一番近いのは俺だ。当然、
俺がシュートをうつべきだ。
───だけど、失敗したら?
ふと浮かんだ可能性は、あっという間に
俺の身体に侵食していく。
考えたくない。考えちゃいけないと思っ
ても一度思ってしまえば、それはもう、
容赦なく。
足が震える。
指先も、震える。
───こんなんじゃ駄目だ。絶対に失敗
するじゃないか。
……でも、俺は───。
「……決めろぉ!徹ーっ!!」
その時、聞こえてきた大声に、ビクッと
して観客席を見れば……。
「み、み……?」
そこには、美海が立っていた。
メニュー