【完】キセキ~君に恋した時間~






なるほど、と思いながら電車に乗り込む




流れてく景色を見ながら、そっと息を吐
き出した。



「勝ちたいな……」



俺のためにも、美海のためにも。



勝って、美海から聞きたい。



それで俺に出来ることがあるなら、なん
でもする。



俺って、弱気な美海に弱いみたいだ……
。あ、強気な美海にはもっと弱いか。



俺が思わず呟いた言葉をどう受け取った
のかは知らないが、隣に座った磯部が、
ニカッと笑った。



「おう!勝とうぜ、絶対!」



そんな磯部に少し微笑む。



だけど俺は知らなかったんだ。



城西が、俺らの学校と大会ではいつも決
勝で当たるくらいに手強い相手だという
ことを───。