忘れてたよ。……美海はこんなしんみり
ムードさえ、余裕でぶち壊す強靭な精神
(こころ)の持ち主だということを。
だけど、僅かに見えた美海の耳朶が赤く
染まっていて、ただの照れ隠しだという
ことに気づいてしまった。
じゃああれか。美海を照れさせる度に俺
は拳を喰らうと……?
美海を照れさせるような事は、もうしな
いと誓った十五の夏だった……。
───翌日。
朝起きて、部屋を出たとたん、ビックリ
しすぎて心肺停止になるかと思った。
だって目の前に、美海が仁王立ちしてい
たから。
え、なに。朝から俺をいたぶるつもり?
なんて鬼畜な!!


