いやまあ、いつでも俺は美海に気を遣い
まくってますけども。だってじゃないと
命に関わるからさ。
俺も大変だなあ、と自分で自分を慰めて
いると、美海がいきなり、テーブルをバ
ンッ!と叩いて立ち上がった。
ビックリして肩を跳ね上げた俺を鋭く睨
み付けた美海は、そのまま俺の前までや
って来て、俺をにらみ上げた。
「……なんで何も訊かないのよ!」
「え」
「なんで東京(ここ)に居んのか、あの
日のこととか訊かないのよ!ヘタレ!」
なんだなんだ。俺はどうすりゃいいんだ
。
美海はたまにこれっぽっちも予想してい
なかった事を言い出すから参る。
「聞いてほしかったの?」
「聞いてほしくないし、訊いてほしくな
いわよバカ野郎!」
……ええぇ~?
「美海、矛盾して……」
「なんか文句あんの!」
「すいません」


