俺の"お帰り"という細やかな思いやりを
いつものごとく美しくスルーし、そう言
い捨てた美海。
……あ、美海が居ないと思って、上半身
裸だった。
俺は適当に濃紺のTシャツを被るように
着てから、ふと、明日の事を思いだし、
美海の方を見た。
「美海、明日俺、朝から居ないから」
「なんで」
え、そんな睨む?
「練習試合だから……」
「どこと」
「城西……」
……なんで美海は、ご機嫌ナナメなんだ
ろう。
そういえば最近、まともな会話してなか
ったから、こんな風に話すのも久しぶり
だ。
美海にどこか気をつかう、自分がいたか
ら。


