別に、その言葉の意味がわからないだと
か、そういうことじゃない。そういうこ
とじゃなく……。
「お、俺が出るんですか……?」
俺がスタメンに選ばれている、という現
実。
目をぱちくりとさせて驚く俺に、栄生君
がニッコリと笑った。
「勿論。徹君は、ジャンプ力もいいし、
シュート率だって高い。なにより、その
魅力的な身長があるからね」
そう言う栄生君の隣で、福田さんもウン
ウンと頷いている。
磯部もニコニコと笑っていて、峯本だけ
が、ふてくされたように俺から目を逸ら
していた。
……いいのか?
いくらそう褒められたって、まだ二年生
と1on1でもしたら勝てないだろうし。
こんなぽっと出の奴がいきなりスタメン
って、嫌な気持ちにならないんだろうか
……。
そう思いながら、その日の練習は終わっ
た。


