震えた、遠慮がちなのにどこか縋るよう
に震えた腕。
やけに素直な美海は、自分の強気も保っ
ていられないほどに弱っているという証
拠。
美海……ごめんな。
助けてやれなくて……ごめん。
家に帰ってからも、美海は口を開かず、
何も言わずに自分の部屋に閉じ籠ってし
まった。
父さんも帰ってきて、美海の異変にはす
ぐに気付いたみたいだったけど、何も言
わなかった。
それから一週間───……。
「じゃあ明日はついに、城西学園との練
習試合だ」
俺はいつものように部活に出て、福田さ
んのそんな言葉を聞いていた。
どうやら明日は練習試合らしい。そのせ
いか、皆いつもよりも空気がピリピリし
ている───なんてどこか他人事な俺は
、まだ部活にキチンと馴染めていないの
かもしれない。
馴染めている、フリ。


