俺の言葉を遮り、大声でそう言った美海
。そんな美海の声が、僅かに震えていた
。
「私、帰らないから……っ」
「美海、いい加減に───」
「その声で私の名前を呼ばないで!」
美海は突然そう叫ぶと、その場にしゃが
みこんだ。
───俺は、見逃さなかった。
美海のお母さんが、そんな美海に、軽蔑
の眼差しを向けていたことに。
俺は、おずおずと美海のお母さんの前に
立つ。
緊張で心臓が壊れそうだけど、そんなこ
と言ってる場合じゃない。今は、美海を
守らなきゃ。
「……あの…っ。美海は、俺の家で預か
ってるし……父さんも歓迎してるんで、
夏休み中は平気……です…」
たどたどしい口調で、どうにか伝えると
、美海のお母さんが困ったように微笑ん
で、俺を見上げた。


