【完】キセキ~君に恋した時間~






ああ、この人が原因だったのか……。



伝わるかはわからないけど、大丈夫、と
いう意味もこめながら、その細い腕を少
し強めに握る。



人のこと貧弱だとか散々罵っておいて、
美海の腕だって、驚くくらいに細い。



「ご無沙汰しております……。なぜ、こ
ちらへ?」



そう訊くと、僅かにその瞳に鋭さが宿っ
た。



「……美海がずいぶん迷惑をかけてるみ
たいだったから。ケータイも出ないし、
探すの大変だったのよ」


「はぁ……」


「ごめんなさいね。すぐに連れて帰りま
すから」



ニッコリと口元に弧を描いた美海のお母
さん。



俺は思わず目を見開いた。



「いや、美海は───」


「私、帰らないから!」