そしてそれを、美海はいつも一人で溜め
込むんだ。
『美海ちゃん……どこか痛いの?』
一度、美海が声も出さずに泣いているの
を見つけて、そう尋ねたときがある。
美海はそんな俺を睨み付けて、痛くない
、と言い張ったけど。
ほんとはすごく痛くて。
ほんとはすごく辛くて。
だけど誰にも言えなくて、誰にも頼れな
かったんだと思う。
美海がなんでお母さんに恨まれてるのか
、なんとなく理解出来たのは、中学生に
なってから。
そりゃ、いい気分じゃないかもしれない
。
自分が愛した男が愛した女の、子供なん
て。
はっきり言ってしまえば、血の繋がりも
なにもない、他人だったんだから。
美海がきっと、邪魔だったのかもしれな
い。