「でもまだ、ちょっと痩せ気味だからね
……。もう少し、頑張ってね」


「……努力します」


「他に具合悪かったり、目眩がしたりと
かは?」


「特に。……ああ、目眩は、数回」



そう言うと、先生の表情が一瞬だけ曇っ
たのを、私は見逃さなかった。



きっと医者がいつでも笑顔なのは、患者
を不安にさせない為だと思う。



医者が診察中、ずっと険しい表情だった
ら、患者も不安になるから。



だけど。



その安定剤の笑顔すら、忘れさせてしま
うほどのことを、私は言ったのか。



まあ、次の時にはもう笑顔だったけど。



「薬、出しておくからね。副作用がキツ
イかもしれないけど」


「はい」



処方してもらった薬の量が、また増えて
いる。